緩やかな紐帯

誰も独りでは生きてゆけない、
という言葉は情緒的に過ぎるかもしれません。
しかし、もたれあうのではなく
支えあうことは必要だと思っています。

現代農業増刊号でも常々紹介されていますが、
見落とされがちだった地方の良さを
その地域になかったものを作るのではなく、
その地域にあるものをあるがままに評価し、
発展させていこうとする
地域おこしの運動が盛んになっています。

しかし、そういう地域おこし運動において
陥りやすい問題点は、
ある一つの施設だけで
多くのことを完結させていく方向になるところです。

一つの施設だけで完結させていく方向に
動いていった場合、必然的に他団体を排除する
傾向が強まります。

これは地域おこしだけでなく、
今流行のNPOでも当然起こる問題ですし、
共同体運動も含め、多くの集団、組織において
起こってきた問題です。

この方向がさらに進んだ場合、次に起こる問題は
人員の囲い込みと同時に、集団にそぐわない人間を
排除し、結果的に従来その集団が持っていた力までが
失われてしまうという問題です。

では、そういった問題を回避することはできるのでしょうか?

現在考えている中でヒントになるのかな、と思えるのが
『緩やかな紐帯』という言葉です。
紐帯というのは二つのものをしっかりと結びつける役割を果たすもの、
という意味があります。
それに『緩やかな』という形容詞をつけることは
逆説的な感じを受けるでしょうが、
はりすぎず、ゆるすぎず、ちょうど弦楽器の
チューニングがあったような状態をイメージしてくださると
いいかと思います。

囲い込んでしまうのではなく、
それぞれの集団の特性を活かして、
相互交流を図るのですが、
バラバラではなくつながっている、という状態です。
一つだけで完結していないため、
互いのあるところ、足りないところを
相互補完できる、という利点があります。

鴨川自然王国で総合的な生活体験空間を作りたい、
という思いは今もあるのですが、
それぞれの集団の良さを活かせば、
もっと楽しいことができるんじゃないか、
無理せずにやれるんじゃないか、
と笹谷窯http://www7.ocn.ne.jp/~sasaya/
田植えをさせてもらいながら考えたのでした。

以前のブログを読む