- 作者: 養老孟司
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2007/11
- メディア: 単行本
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この本の一節に、人間の身体性との関わりの中で
「固さの違う地面を歩いてみればいい」という文章がありました。
一昨日東京に行ったのですが、振り返れば歩いた地面は
アスファルト、レンガ敷きの道、タイル、電車の床、そしてビルの床でした。
王国で普段過ごしていると、歩く地面というのは、
畑、田のあぜ道、砂利道、コンクリート舗装、アスファルト舗装といったところでしょうか。
農村といえども、舗装は進んできているので、車道で未舗装というのは農道くらいしかありません。
でも、当たり前ですが田や畑は未舗装です。
考えてみれば、これはすごいことです。
人間が歩くことは、大上段に構えて考えると大地と接触するということです。
大地は、いろんな姿を見せるものです。
アスファルトの地面はなかなか掘れませんが、畑や田なら掘ることができます。
雨が降らず、表面上土が乾いているように見えても、少し掘ってみればちゃんと水分を保っている。
森や林を歩いて、少し落ち葉をどかしてみると黒く湿った土はいい香りがします。
草の生えている地面は少し柔らかいし、草をきれいに刈り続けている土手は固いです。
農民がなぜたくましいのかを考えてみれば、それは大地とつながっていることが一因と思われます。
私がたくましいかどうかをちょっとわきにおいて考えてみても、私の生活の充足感は大地とつながっていることにあると思います。
鶏のために毎朝少しだけ草を刈りますが、朝露に靴がぬれることが実はとても豊かなことだと感じます。
日常における当たり前とも言える環境を、視点を変えて眺めてみれば、その豊かさに気づきます。
その豊かさに気づきやすいのが、農的生活の醍醐味かもしれません。