- 作者: ムハマド・ユヌス,猪熊弘子
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2008/10/24
- メディア: 単行本
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著者は、2006年度ノーベル平和賞を受賞した人である。彼が総裁であるグラミン銀行は、マイクロクレジットという少額なローンを貧しい人(女性中心)に貸し出すことで起業させ、その女性が社会で生きていけるような仕組みを運営している銀行である。
名前だけ知っていても、この本を買おうと思わせたのはある人の「これからは貧困問題が大きなキーワードになりますよ」という言葉だ。
実は、1月20日に行われるこれまたバングラデシュのNGO”BRAC”を主宰するファズレ・アサン・アベッド氏の立教大学での講演http://www.rikkyo.ac.jp/feature/abed/にお誘いをいただいているのだ。
このアベッド氏の講演会にぜひとも参加しようと思っていて、しかし私はマイクロクレジットやアベッド氏の活動を全く知らない。その中で、ムハマド・ユヌスの著書を読めば、何か講演会の事前準備ができるかと思って、思い切って購入した。収入が低いので本を購入するのには熟慮が必要なのだが、結局は直感で買ってしまう癖はなくならない。
まだほんの少ししか読んでいないのだが、「これからは社会問題を解決することを目的とする企業が必要だ」という主張には驚いた。CSR(企業の社会的責任)という言葉だって、欧米から来た半ば偽善的な言葉のように聞こえていたが、社会問題の解決を目的とする企業が存在できるのか!と思うと大きな感動だ。
政府は、大きすぎて動けなくなり、利権に絡め取られる。NPOは、社会問題に対応したいのに、寄付集めなどで半分以上の時間をとられる。CSRは、99セントをもうけのために使い、免罪符のように1セントを使う経営者を止められない。では、なぜ社会企業(sosial business)は、社会問題を解決できるのか。それは、社会企業は投資家に一切利益を配当しないのだ。投下資本の回収はするが、それ以上の利益は求めない活動なのだ。利益を配当しない(=過度な営利追求はしない)ので、製品を高く売らなくてよいのだ。つまり高品質な栄養食品を安い金額で貧しい人に分けられる、ということだ。
いずれ、自然王国もこういう存在になりたい。というのも、慈善団体でもないし、営利追求団体でもないし、私たちは中途半端な存在なのか?と思っていた部分があるからだ。お金なんかいらない!という人が周りにいるのだけど、正直私は余裕を持って生きていけるだけのお金がほしい。お金のことを言うと、金の亡者だと言われてしまうのだが、社会企業として自然王国が成り立ってゆけば、それは結局地域の雇用も生みだすし、地域に必要とされる組織になることだろう。
本の内容と離れてしまったが、新しい気持ちを私に抱かせてくれた本だ。この本を読んで、それでアベッド氏の講演会に行こう。
ムハマド・ユヌスの自伝も読んでみたいが、逸る気持ちを今は抑えよう。