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ちまたで話題になっていたので、遅まきながら手に取った。
アメリカ型の「マネー資本主義」に対置されるもの、
補完されるものとしての「里山資本主義」について書かれた本。
具体例として、岡山県真庭市で、製材工場から出るチップ、製材くず等をペレット化し、木質バイオマス発電をすることで、化石燃料への依存を減らしている人々があげられている。
おお、すごい。
これまでいろんなところで見聞きしてきたけど、その内容が新書になって、それがさらに10万部を突破しているところがすごい。
また、新鮮な驚きを得たのはオーストリアの事例。
今日、偶然にもオーストリアのウィーン大学で日本学を研究し、今年一年日本の高齢化社会について研究プロジェクトをおこなう女性研究者たちが我が家を訪れていたのだが、その後読み始めたこの本に、オーストリアの事例が載っていて、なおさら驚いた。
本論とは関係ないのだが。
オーストリアは内陸国で、日本同様低資源の国で、その上石炭も産出されず、ロシアから天然ガスの輸出停止をちらつかされたりすることも多く、エネルギーの安定供給をどのようにはかるかが国家的課題であった。
木材を製材したあとの副産物であるチップをペレット化し、さらにペレットボイラーの研究を進めることで燃焼効率の高いストーブを開発し、ロシアからの天然ガス依存、隣国からの原発で発電された電気を買わずにすむようにしたそうだ。
憲法に、原発で作られた電気は使わない!と明記しているそうで、しぶすぎる。
オーストリアは北海道ほどの大きさで、そのうち森林面積は国土の15%ほどなので、資源を使いすぎると資源の枯渇を招く危険性がある。それを守るために国が厳密に資源調査を行い、どこを伐るか、どのように利用するかについて厳格な資格要件をクリアした森林官、森林管理者がきちんと管理しているとのことだった。
この方式がそのまま我が国に移植できるわけではないのだろうが、国のあり方、地方のあり方を住民全員で話しあって決めるというスタイルがとても気に入った。
さらに、日本の事例では、各地域で里山資源を利用しながら地域で仕事を作り出したり、大学や企業と研究実践を進めている人々の事例がたくさん取り上げられていた。
本書は、そのような人々のことを「里山革命家」と名付けていた。
う〜ん、これいいな。
革命って、政権を転覆することのように思われ、危険きわまりない人間のように思われているが、この里山革命家たちは、別に政治家を目指すわけでもなく、大企業経営者になるわけでもなく、日本各地、世界各地の人々とつながって、どうすれば楽しく暮らせるか、資源になるべく負荷をかけずに利用できるかを考え実践しているだけ。
そして、それこそが政治や行政に頼らない新しい集団、コミュニティを生み出すことにつながるんだと思う。
うん、里山革命家、いい響きだ。
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