その場に身をおくということ

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午前中の塾の授業が終わってから、

 

身体巡礼: ドイツ・オーストリア・チェコ編 (新潮文庫)

身体巡礼: ドイツ・オーストリア・チェコ編 (新潮文庫)

 

 

を読了。

雑誌連載中にも少し読んでいたのだけど、ふと、身体について考えてみたくなったのと、ハプスブルグ家の埋葬法が心臓と内臓と身体を別の場所に埋葬するというものを思い出して、なぜだったか知りたくなったからだ。

心臓信仰や、ユダヤ人墓地についての話題など、とても興味深く読んだのだが、本編には直接関係なさそうなところを引用する。

 

自分なんてものはすぐに変わる。だから、その場にそのときの自身の身をおいてみる。その空気を味わってみる。そうすると、考えていたことが確認でき、深まり、新たな地平が広がっていく。

 だから、現物に自分であたってみることがいちばん確実だ。人に振り回されないで済む。

 

この文章は、著者がなぜ墓場巡りをしたかについてのべている部分だが、私が農村に暮らす理由と関係があるかもしれないと思って引用した。

 

私が農業をしているのは、生活のためと、妻の家に農地があるからなのだが、実は土に触れていると、とても気分が落ち着き、充実感もあることが大きいと思っている。地面を歩くだけで、柔らかな感触が心地いいし、大げさに言えば、エネルギーをもらっている気さえする。

この地を足場にしているからこそ、考えられるし、動いていける。

まだまだ迷いも多いのだけど、迷ったら野に出て、身体を動かしてみることだ。

 

正月明けで寒いのと、部屋でやることが多くてまだ外で動いてないんだけどね。

 

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先覚者に触れる

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なんという名前かわからないが、庭によく飛んでくる鳥。ここのところ晴れが続いているので、よく鳥を見かける。

 

“学問の道は、すべからく雫の石を穿つごとくせよ”という言葉が、高野長英宇和島に逃走している時に開いた教室の第1の約束として掲げてあったそうだ。

 

江戸時代に生きた、高野長英についての詳しい評伝を初めて読んだ。

蘭学者としても医学者としても大変優れていた人だったが、蛮社の獄連座終身刑を言い渡された。牢獄に放火させて脱獄し、6年逃亡するも最後は捕吏により撲殺される、という壮絶な人生を送った。

 

オランダ語に身を全て置いて生活していた、というような話があって、江戸時代末期にこれほどまでに道を究めていた人がいることを知った。

 

冒頭の言葉は、“西洋の古語に曰く”と書いた後に続けられているのだが、この言葉は何にでも通用すると思う。

雫が硬い石に穴を開けるように、たゆまぬ努力をするべきということだ。

まさにその言葉通り生きたであろう高野長英の人生に思いを馳せた。

 

長英は、脱獄してから殺されるまでに6年を生きるのだが、各地で仲間が彼をかくまってくれる。かくまうということは、幕府にバレればかくまった家族も処罰を受けるということだ。

文字通り、命をかけて彼を助けた人々が数多くいた。

自分の生き方も問われてくる一冊だった。

 

 

評伝高野長英―1804ー50

評伝高野長英―1804ー50

 

 

 

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正月2日の語らい

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昨日に引き続きいい天気だった。

朝は冬期講習の予習を行なった。

高校受験が間近なので、この時期はいつも大変。

どうにかしてわかってもらいたいと思っているのだが、学ぶモチベーションをどう上げていくかがポイントになる。

自分が中学の時にできなかったことを今の子供達に求めてしまっているような気もするが、その時に知らなかったことをいま知らせておくことは必要だと考えているのだ。

この年代は否応なしに国の政策に影響されてしまう。とすれば、少しでも、自分の課題を見つけて解決していく練習をして欲しいと考えている。

彼らに、どんな風に届いているのか、押しつけになってないか、問いかけている。

 

お昼からは、お隣さんの新年会にお招きいただいた。集まった人たちは、昔自然王国の会員だった人たち。今はそれぞれの現場で活躍している人ばかりなので、話をするのが本当に楽しかった。

自分の知らないこともあるし、自分がやろうとしていることも聞いてもらえて、ありがたかった。

王国に私が来てから、ずっと私を見ていてくれる方たちなので、特別な人たち。

正月2日にお会いできて、ゆっくり話ができて、今後の自分を描くことができた。

明日からは塾での指導が始まる。

一つ一つ進めていこう。

 

 

 

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14年目を数える鴨川の夜

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自宅の2階からの初日の出。

今までは毎年海まで見に行っていたのだが、今年から家で見ることに。

朝早く起きなくても間に合う、といった理由に過ぎないのだが。

 昨年義祖母が亡くなり、喪中であるため、ある意味非常に落ち着いた正月を迎えている。

1日部屋でゆっくり過ごした。

毎年新年の抱負というか、今年一年を描くことにしているのだが、今年も面白いことをたくさんやって行きたいと思う。

自然王国、農家民泊、NPO法人うず、釜沼木炭生産組合、塾講師。それぞれの現場で、自分の役割を果たせれば、と思う。

少しずつ、この地での暮らしも形になり始めている。

いよいよ、正念場を迎えている。

一つ一つの活動を着実に進めていこう。

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苗づくりと安房マネーと自然王国と。

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先日蒔いた稲のタネがようやく発芽した。

今年は例年より2週間以上遅れての作業だ。

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種まきをしてから3日目の状態。

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朝一で妻も手伝ってくれる。

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次女が幼苗に新聞紙をかける。

苗が緑がかるまで新聞紙をかけるのだ。

今年で5年目の稲作が始まっている。

 

昨日は、千葉大学の研究生たちが我が家を訪ねてくれた。鴨川を中心に展開されている地域通貨の「安房マネー」の話を聞きたいと言ってきてくれた。

私は単なる一会員に過ぎないのだけど、実際に使っている人の話を聞きたかったとのこと。

 

私が安房マネーに入会したのは、今自然王国の代表をしているミツヲ氏に紹介されたから。

当時の私は、地域通貨がなんたるかを全く知らなかったが、誘ってくれたから、入ることにした。

でも、結果的には、安房マネーに入会したことから全てが始まったように思う。

知り合いも一気に増えたし、鴨川での暮らしが楽しくなったのを覚えている。

今ではあまり安房マネー自体を交換することはないのだけど、いざという時に一番頼れるネットワークのように思う。

2011年の東日本大震災の時、廃校になった大山小学校を利用して「大山支援村」という避難所を作った時も、安房マネーのみんなから大きな力を貸してもらったのだ。

安房マネーは、私にとっては究極のサバイバルネットワークなのだ。

 

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そして、私の今を作ってくれている自然王国。

思いもよらない人生が、ここで展開されている。

生きていくのはカツカツだけど、それでもなんとか生きているし、これからも生きてゆこう。

 

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1人ではできないことも。

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朝8時半にお隣さんに集合してもらって、今日は自然王国までヤギ小屋をもらいに行った。

王国に昔ヤギがいた頃、使っていたものだ。

1人ではとても運べないので、ご近所さんに声をかけて手伝ってもらった。

思った以上に重く、1時間を予定していた作業が結局1時間半かかってしまった。

ちょうどニッキの木があったところに、小屋を置いた。

5月末のヤギの引越しの日まで、あとは簡単な柵を作って準備しておこう。

 

声をかけたら、気軽に時間を空けてくれて、本当に助かった。自分1人では絶対に運べないし。

こんな年になっても気の置けない友人がいるなんて、とても幸せなことだな。感謝。

 

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週明けは天気が荒れる予報なので、午後からは塾の予習をしてから草刈り。田んぼの準備で畑がおろそかになってしまうのだが、そろそろ畑作りをしておかないと、夏野菜が植えられなくなってしまう。これからは小・中学生の農家民泊体験も始まるので、夏野菜がしっかり揃っていることが大事。

農家です!なんて恥ずかしくて言えなくなってしまう。

 

水曜日はお米の種まき!の予定。

 

 

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ほんの小さなことだけれど

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今年は、例年より20日近く遅れて稲の種まきをすることになる。自分の段取りが悪くてこうなってしまったのだが。

3年前から稲の育苗を始めた。まだ、自分のやり方が確立していないので、これまで習った方法で作業している。

今日は土曜日だったので、子供たちも一緒に手伝ってくれた。

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妻と長女が交代で土を入れ、

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次女と義母が周り仕事をやってくれた。

私は、最後の土の量の調整。

 

土入れをした枚数は50枚に満たないが、

家族で仕事をすると、お米がどのように準備されるかが感じられて、いいのではないかと思う。

私のやっている農業は、収入から見れば本当に小さなもので、華々しく報告できるものではない。

でも、季節に合わせて仕事ができることは、幸せなことだと感じている。

種まきは、週初めの雨が上がったらやる予定。

お米作りは手間がかかるのだが、その1つ1つの作業を終えながら準備して行くのは何度やってもワクワクするのだ。

そんな面白さを伝えていければな。

 

最後に、木曜日に撮影した自然王国の桜を。

今年は、これで見納め。

来年元気に再会できるよう、いまを生きてゆこう。

 

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できるという感覚が

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義母が世話しているチューリップがきれいに咲いた。

 

昨日は、しばらくぶりの激しい雨だった。

用水路が詰まって溢れてしまい、田んぼに直接流れ込んでいたので不安だったが、今朝起きて見ると大丈夫だったので安心した。

 

田んぼの準備は、まあ順調といえば順調に進んでいる。農協に種もみを頼むのが遅れて、まだ育苗が始められていないのが残念だが、田植えを遅らせることが納得できれば大した問題ではない。

 

それより問題なのは、トラクターを田んぼにはめてしまうのではないかということだ。

先月末にトラクターをはめた田んぼには、再びはめるのが嫌なのでもう入らないようにしようと思っていた。でも、そうすると見栄えは悪いし、何よりその部分には稲を植えないことになるので、収量も減ることになる。

なんとかしたいなと思っていたところ、たまたま通りがかった人と田んぼの話になり、うまいやり方を教えてもらった。

 

それは、田の中で辺にそって回るのではなく、耕す部分までバックで入り、前進で耕運した後、また次の場所にバックで入り前進、という方法。いわゆる「前進バック」というやり方だ。

これは、稲刈りでコンバインを使うときにも行う方法だが、トラクターのときに使うとはあまり考えていなかった。その理由は、めんどくさい、時間がかかるからだ。辺にそって耕運して回る方がずっと早いのだ。

私が使わせてもらっている営農組合のトラクターは23馬力でタイヤに爪がついてあるもの。機械屋に言わせると、小さいので、キャタピラのもっと大きい28馬力のトラクターの方がいいですよ、と言われてしまったもの。

でも、28馬力のトラクターなんて買えないし。今あるものでやれるなら、それでやろうということだ。

 

いざ、集中して田に入る。バックで位置につけ、ゆっくり前進で。お、いける。かなり沈んでしまうが、はまりそうな感覚はない。

バック、前進。バック、前進。

前進するときも耕せているかどうか確認するためにずっと後ろを向いているので、身体が固まってしまったが、気になっていたところをなんとか耕運することができた。これで、あとは3週間後の代かきまで田んぼに入らない予定。

トラクターをはめずに作業できて、一安心だ。

 

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きれいに耕せているわけではないのだが、なんとかやりきった記念に上げておく。

幾つになっても若者のように、「何かができて嬉しい」という感覚を味わうのは恥ずかしい部分もあるが、どうせ不完全な自分なのだから、と開き直って日々進むしかないな。そして、嬉しいことは嬉しいのだ。まだ5年目なのだし、勉強はまだ続くというわけ。

 

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約1ヶ月前に次女と植えたジャガイモが発芽し始めた。3キロしか植えてないのだが、きちんと手をかけていこう。こちらは、6月頃に収穫予定。

 

 

 

 

 

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満開の桜と日々と。

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私が勤める鴨川自然王国の山小屋前の桜。

花見イベントを1週間以上すぎてようやく満開に。

昨日、雨が降る前に撮影したもの。

今年も、きれいに咲いてくれた。

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この桜は、王国入口を曲がって田んぼ沿いの細い坂道を登りきったところに植えてある。

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作業中に、桜を見上げて撮影。

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田んぼのくろぬりを進めている。

田んぼの作業を始めるようになって、もうすぐ10年くらい。自分でもやっているけど、こちらは今年でようやく5年目。

あぜきわの土手みたいなものを作る作業がくろぬり。

実は、作業がいくつかの工程に別れているのだ。

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備中鍬で田の内側にある土を寄せる。

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ひっぱってきて。

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のせて。

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あげる。

 

この作業をあぜの端まで繰り返し、1日くらいおいて、田の中に入って先ほどのくろ塗り作業に入る。

 

田んぼの作業は、どうしても田植えと稲刈りが中心で、多い場合は草取りや脱穀作業を一緒にやったりすることがある。

だから、このくろぬり作業はなかなか体験に取り入れることが難しい。くろぬりができるようになると、田んぼの形がだいぶできてくるので、派手ではないが、嬉しい感覚を味わえる瞬間である。

 

今日は、家で作業する日。

昼から雨が強くなるということなので、早朝から作業して、なんとか目標を達成。

で、今家でこれを書いている。外を見ると、だんだん雨が激しくなってきた。

種もみがようやく届いたので、稲の育苗も始めていかねばならない。緊張しつつも、充実した期間が始まるのだ。

 

 

 

 

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この地で暮らすこと

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5月末に、我が家に来てくれる予定のヤギを見に行って来た。車で約30分のところだ。3月中旬に生まれたばかりだが、もう草を食べ始めている。元気そうだ。ヤギを飼ったことはないので、勉強しながら育てていこうと思っている。楽しみだな。

 

お昼前に、いつも親しくしていて、お世話になっている友人夫妻が嬉しい知らせを持って訪ねてくれた。

自然王国で初めて会って以来なので、10年は軽くこえるおつきあい。彼らが投げてくれる面白い仕事も、私の準備が追いつかずうまく答えられないのが辛いところだが、それでも遊びに来てくれる素敵なご夫妻だ。

 

自家産のしいたけを焼いて、昼ご飯を一緒に食べた。「ここでの暮らしは豊かだね」と言ってくれた。

そうだな、ここでの暮らしは豊かだな。

改めて考えてみると、それ以外言いようはない。

何かやりたいと思えば、かなりの確率でトライできる場所。

 

「いやあ、おれさ、今が岐路やねん」というと、

「それ、10年以上言ってるよ」と指摘される。

私はずっと今が岐路、今頑張らないと、と思って日々暮らしているのだった・・・・

 

それでも、日々少しずつ暮らしを維持しながら進んでいっているに違いない、とひとりごちるのであった。

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