久しぶりに、
- 作者: 内村鑑三
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2011/09/17
- メディア: 文庫
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を手に取った。
読み出すと、出だしから熱くなってくる。
「私に50年の命をくれたこの美しい地球、
この美しい国、この楽しい社会、このわれわれを
育ててくれた山、河、これらに私が
何も遺さずに死んでしまいたくはない。」
自分にも、わずかながらこんな気持ちが湧き上がってくる。
次に、ハーシェルという天文学者の言葉が引用される。
「わが愛する友よ、われわれが死ぬときには、
われわれが生まれたときより世の中を少しなりとも
往こうではないか。」
う〜ん、最近自分の安定ばかりを考えている・・・
そこで、内村は「何を置いてわれわれが
この愛する地球を去ろうか」と問う。
「金か。事業か。思想か。」
これらは確かに必要である。
しかし、これらのものを残せる人は限られている。
誰にでも残しうる遺物、それこそが最大遺物ではないのか。
それは、
「勇ましい高尚な生涯」
である。
「この世の中は悲嘆の世の中でなくして、
歓喜の世の中であるという考えをわれわれの生涯に実行して、
その生涯を世の中への贈物としてこの世を去る」ということである。
さらに、アメリカの女学校の校長は言った。
「他の人の行くことを嫌うところに行け。
他の人の嫌がることをなせ。」
誰にでもできることではないが、誰にでも
なしうるチャンスのある言葉である。
私にできることは何か。
この地でのほほんと暮らすのみなのか。
それとも、本気でみんなに伝え、
実践していくのか。
明治27年(1894年)の内村の言葉が
今聴いたように私の胸に迫ってきた。