土と平和の祭典を終えて

直前にあれだけあおっておいて、それが終わって何も

音沙汰がないというのはむずがゆいものだ。

遅れてしまったが、簡単なご報告をしたい。

11月11日、土と平和の祭典が終わった。

心配していた雨は、前日の午前中と、夕方、

当日の開場直後くらいで、後は降らなかった。

晴れ女の加藤登紀子とYaeがついているから安心だ、

とうわさされていたが、まさしく雨が上がった。祈りの力恐るべし。

会場となった芝公園は増上寺の隣にあり、道路に面した公園で、

アースデイの会場となる代々木公園と比べるとこじんまりした空間だった。

芝生がきれいで、ここで音楽を聴いたら楽しいだろうな、と思わせてくれるところ。

自然王国は、野菜と本を出品した。

野菜は、タアサイ、じゃがいも、さつまいも。

小松菜、ラディッシュ、ニンジン、里芋。
ツルムラサキ、とうがらし、にんにく、アサツキの種。


こんな感じのレイアウト。

なんと、地球納豆倶楽部の世安社長が

一日フルで手伝ってくれた。

世安社長は晩年の藤本さんの秘書的な仕事をしていた方で、

今は藤本さんの残した納豆事業を引き継いで営業されている。

王国会員でもあって、熱心に王国に関係してくれる熱い人だ。

今回の目的は、野菜を売り上げることだけではなく、

いろんな人と話したい、ということがあった。

農業者や、農的な生活を志す人が多くて、話は自然に弾んだ。

ただ単に野菜の売買ではなく、そこに交わされる言葉が

本当の幸せを運ぶのだろう。

会場には多くの農業者が出店していて、それぞれの特色があった。

大規模に有機農産物を販売している会社、そこに出荷している農家。

出されている野菜は、大きくて立派だった。

「有機農産物でここまでできるんだなぁ」というのが素直な印象。

それに引き換え、王国産のにんじんは裂けていたり、また割れしたり、

大きさがまちまちであったりと、見た目はあまりよくない。

そういえば、3年前に王国に来た当初、野菜の出来が余りよくないのは

問題だ、もっとやれることがあるはず、と考えていたなと思い出した。

正直を言えば、大きな野菜が取れる土地をうらやましく思ったこともある。

高校時代は広大な伊勢平野で耕作していたから、今よりもっと大きくて

形のいい野菜が取れていた。

あれから3年。ミツヲさんと毎日畑に出、相談しながら農作業を進めてきた。

王国にくる人には、そのたびごとに「土ががちがちで大変だね」といわれてきた。

「こんな土地じゃ野菜を作るもんじゃないよ」という人もいた。

でも、王国農園は、二人で一生懸命に取り組んでいる。

今は私は昼からは事務仕事をしているのだけど、午前中は畑に没頭する時間だ。

負け惜しみに聞こえるかもしれないけど、自然王国は野菜を生産するだけのところではない。

人々が集って農的生活を学び、生活を営んで仲良く楽しく過ごすための場所だ。

見栄えが悪くてもおいしい野菜をみんなで料理して「おいしいね」といって食べるための場所だ。

「私もこんな生活をやってみたいな」と思うきっかけ作りの場所だ。

粘土質で、条件が悪い畑でも一生懸命にやればこれだけおいしい野菜が取れるのだ。

見栄えが悪くてもいい、といっているのではなく、

それぞれができるところで持てる力を発揮できることがすばらしいと思うのだ。

私たちは、これからも野菜を育てます。

本を読んだり、人に聞いたり、自分たちで試しておいしい野菜を育てていきます。

おいしい野菜を育てることが目的だけど、

本当の目的はみんなが仲良く楽しくすごせ、暮らせる空間、社会を作っていくことです。 

だから、王国はできる範囲で、暮らしを作ることから始めていきたい。

だいぶ話がずれてしまったけど、自分たちの育てた野菜が

ものすごく愛しくて、そんな野菜を「おいしそう」といって買ってくれるお客さんが

いることが幸せだった。

会場では、加藤登紀子、Yaeを始めたくさんのアーティストが歌っていたのだけど、

場所がステージの横で、音響的にはあまりよく聞こえなかった。

でも、芝生で楽しそうに踊っている人たちを見るとそれだけで楽しくなった。

土と平和の祭典は成功裡に終わったのだけど、これだけのイベントをやって、

それをどれだけつなげていくかが問題だ。

王国としては、先ほど述べたことを中心に、ひとつずつ空間を充実させていきたい。

そして、なるべく多くのイベントに出店し、私たちの生活、

王国の活動を知ってもらって、人間の環を広げていきたい。

最後に私事ですが、片品生活塾のキリヤマミチコさんにアースデイ以来会えたのが嬉しかった。

本人は覚えていないかもしれないんだけど、私は甲斐さんの講義で聞いたり、

増刊現代農業の彼女の記事を何回も読みなおしているから、勝手に知り合いぶってしまった。

翌日が結婚記念日だったので、炭アクセサリーを買って妻へのプレゼントにした。

身近な人と幸せに過ごすことが全体の幸せにつながる・・・なんて。

ちょっと恥ずかしいが、これで終わります。

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