歯が痛むので、歯科に行った。
歯が痛むというのは、なんというか、特定の歯ではなく、左右上下の奥歯あたりが痛い、
というなんともあいまいな痛みだったのだが、先生に話すと、
「それは歯肉炎の可能性があるね」
という話だった。
かみ合わせを見たり、レントゲンを撮ったりする中で、
「これは、歯ぎしりかもね」
ということになった。
そこから、この先生は面白い。
どうして歯ぎしりをすると歯がいたくなるのかについて、
「そもそも、人間の歯は一日15分程度しかかみあっていない」
「人間のかむ力は大体その人の体重分くらいある」
「食べているときは、食べものが間にあるので、そんなに力がかからない」
「でも、歯ぎしりするときは、何もなしで、ひどい人は2時間くらいやっている」
「そうすると、歯を支えている部分(もっと説明は細かかったのだが)は、
タテのかむ力には強いが、横にぎしぎしされる力が弱いので、そこが痛んでしまう」
「ただ、そんなにひどくなさそうだから、マウスピースまではしなくていいよ」
「じゃ、これこれこういう治療をするからね」
「この治療はこういう目的だからね」
といった内容を筋道だてて話してくれるのだ。
人によったら、くどい、と思う面もあると思うのだけど、
私にとっては、歯の状態についての説明と、その治療に対する説明が丁寧で、
なんか話を聞いているだけで治ってしまう感じさえする。
プラセボ効果、とでもいおうか。
知らない人に分かるように話すというのはとても難しいことだ。
その物事を十分わかっていないと、とってつけたような上滑りの言葉になってしまう。
話すために、十分理解することが必要だ。
それにしても、話の後に行われたスキニング?という治療は歯科衛生士の方がやってくれたのだが、
歯ぐきと歯の間を針のようなもの?でひっかくのでめちゃくちゃに痛かった。
納得することと、痛みとは相関しないのね。
治療の説明をしながら、
「これは、ストレスによることが多いです。
治療法は、マウスピースを使って対処するか、
ストレスのかからないような仕事や暮らしをするかですね。」
と、今の私の仕事が何なのかを知っている先生はほほ笑むのだった。