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朝日平吾は、安田財閥の安田善次郎を刺殺し、直後に自分も首を切って自死した人物。
1921年(大正10年)9月28日のことだった。
これ以降、原敬暗殺事件や、浜口雄幸暗殺事件につながっていく、テロにより社会に風穴を開けようとする時代となる。
著者によって丹念に追われた朝日の生涯は、一見するとスケールの大きいものだ。
当時の若者が一般的にこうだったのかは、まだくわしくは知らないのだけど、
軍隊に入ったのちは、満州へ渡り馬賊に参加し、帰ってくると労働争議に参加し、
選挙応援を行い、宗教団体に加入し、さらには自らでいろいろな団体を立ち上げ、
最後には労働者を救済するためのホテル建設を計画し、それが挫折に至ったのちは、
自らの生涯を知らしめるために、「守銭奴」といわれた富豪と刺し違えて生涯を終える。
享年31歳。
テロに対しては、今はまだそういう手段に訴えるべきではないという立場をとっている。
テロでしか訴えられない事柄がある、というのはわかるような気もするのだけど。
死して名を残すよりも、名もなく生きることを選択したい。
引用されている朝日の文章を読むと、どうしようもなく他責性が強くて、あまり共感ができない。
現代の私が読んでいるからかもしれないが、特定の富豪や、政治家がこの世を悪くしているので、
そいつらを除くしかない、という考えが短絡的に思えてしまうのだ。
しかし、だからといって、今の世にこれほどまでに世の中に対して悲憤慷慨している人がいるのか、と思う。
今は私にとって政治家が非常に身近な存在であるのだが、明確な国家ビジョンを示せている政治家が本当に少ない。
政治家に求めていてもしょうがないのだが。
日本の近代、幕末から昭和初期の人が書いた本を読むと、否応なしに「国家」や「社会」に目を向けさせられてしまう。
もう少し、勉強を続けようと思う。
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