日本策士伝―資本主義をつくった男たち
というタイトルに惹かれ、何気なく古本屋で購入。
頭の中は政治でいっぱい。
本書では、明治中期から昭和初期までの経済界や政界で活動した人々の物語で、
登場する人々の個性が強すぎ(笑)。
今では一般的に語られない人々も多い。
最近、なぜ日本は「大東亜戦争」を戦ったのか
で再び出会ったような、
頭山満、北一輝などの名前も見える。
この当時の人々、というか日本を動かしていたような人々は、
本当に人間が大きく見える。
原敬にしても、刻苦勉励という言葉がお題目でないほど努力をしているし、
今では黒龍会の親玉、右翼の大物としてしか描かれない内田良平が
20代初めに炭鉱の経営を任され、毎週末に40キロを歩いて福岡の自宅に帰るとき、
古事記を朗誦しながら帰ったというエピソードには、戦慄すら覚える。
今とは時代が違う、と言ってしまえばそれまでだが、
それにしても本書に出てくるような人々は稀有であったろう。
一介の浪人が孫文や宗教仁を助けて中国革命の支援をするなんて、
そんな大それたことをやっているのだから。
天下国家を論じることがいいわけでもないだろうが、
大きな視点でものを見ることで、日常の些末事に
気を殺がれることも少なくなるかもしれない。
一般的な日本史の通史には描かれていないことも多いので、
視野を広げるための良書と言える。