憲法の伝道師に会いに

慌ただしく朝の作業をすませて館山へ。伊藤真氏の憲法講演を聞きに行くためだ。司法試験受験生の頃、彼のビデオ講義でずっと勉強していたので、いらっしゃるなら是非聞きたいと思ったのだ。20年近く前、「憲法体系マスター」という授業があって、その中で忘れられないシーンがあったので、再現してみる。

ある人に、「日本国憲法で、一番大切な部分はなんですか?」と問われた氏は、「日本国憲法には三大原則があり、1国民主権、2平和主義、3基本的人権の尊重です」と答えた。

「いえ、最も大切な部分はなんですか?」

「…。」氏は言いよどんだ。すると、

「憲法で最も大切なのは、憲法13条の「個人の尊重」です」と言われたそうだ。

当時、この話にとても驚いた。なぜなら、学校では憲法の三大原則を習うだけで、最も大切なことについては習った記憶がなかったからだ。

では、「個人の尊重」とは何だろうか。ここからは今日の講演スライドから引用する。

日本国憲法の根本価値

憲法13条前段(個人の尊重)

「すべて国民は個人として尊重される」

一人ひとりの自由を保障し、誰もが人間としての尊厳を持って個として尊重されて、生きることができるようにすることをめざす。

→一人ひとりを大切にする。

存在価値の保障

とあった。憲法のいう「個人の尊重」は、利己主義とは全く異なり、一人ひとりを個として尊重することなのだ。このことを、改めて強く思い知った。

憲法について書くことは、政治的なことを書くことにつながるのだけど、憲法改正について賛否を問うなら、憲法とは何かを考えずして、答えは出せないはずだ。

氏は、「憲法を知ってしまった責任として、その憲法の価値を実現しなければならない。憲法の伝道師となって、どこにでも行く」と言っていた。20年前も言っていた。ずっと継続されているのだな、と感銘を受けた。

私は今特別な活動をしているわけではないけれど、日々の暮らしの中で気づいたことを積み重ねて行くことだけは、し続けよう。

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