幕末史

幕末史

幕末史

年末の銀座で購入。日本史の本なら持っているし、幕末をテーマにした小説も読んできた。歴史の流れを知ったつもりでいたのだが、著者の「薩長史観に立たない観方」が気になり思い切って購入した。正月から合間を見つけて読んできて、昨日は後半部4分の1を一気読みした。語り口調なので読みやすいという面が強調されがちだが、歴史の転換点と思われるものが明示されているのでポイントを押さえた読み方が可能である。
薩長史観に立たない」というその中身は、歴史を知っている人には当たり前なのだろうけど、「1865年(慶応元年)10月5日において、朝廷が条約の全面勅許を認めた。日本の国策が一致したのだから、ここから開国に向かって国づくりを進めてもよかった」という指摘である。このあと薩長同盟があり、大政奉還、鳥羽伏見の戦い、戊辰戦争とどんどん混迷していくのだが、それはただ単に「徳川幕府が無能で、薩長が次代を見据えた行動をした」というわけでもなさそうなことに気づかされた。
歴史をどんな目で見るのかは本当に大切なことだ。一面的にみるのではなく、なるべく多面的に見ることで見えなかったものが見えてくるのだろう。なお、本書は幕末史と言いながら、明治10年(1877年)の西南戦争までの記述が含まれている。明治になっても新国家のビジョンが確定していなかったことの表れとして西南戦争までを述べたそうだ。
1853年のペリー来航から1878年大久保利通暗殺まで、25年で時代は全く変わってしまう。今の時代も、10年20年先にはどうなっているのかわからない。私が生まれて生きてきた30年にも、ひょっとしたら大きな転換があったのかもしれない。その転換が、徐々に現れてきているような気がする昨今である。

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