14年目を数える鴨川の夜

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自宅の2階からの初日の出。

今までは毎年海まで見に行っていたのだが、今年から家で見ることに。

朝早く起きなくても間に合う、といった理由に過ぎないのだが。

 昨年義祖母が亡くなり、喪中であるため、ある意味非常に落ち着いた正月を迎えている。

1日部屋でゆっくり過ごした。

毎年新年の抱負というか、今年一年を描くことにしているのだが、今年も面白いことをたくさんやって行きたいと思う。

自然王国、農家民泊、NPO法人うず、釜沼木炭生産組合、塾講師。それぞれの現場で、自分の役割を果たせれば、と思う。

少しずつ、この地での暮らしも形になり始めている。

いよいよ、正念場を迎えている。

一つ一つの活動を着実に進めていこう。

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苗づくりと安房マネーと自然王国と。

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先日蒔いた稲のタネがようやく発芽した。

今年は例年より2週間以上遅れての作業だ。

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種まきをしてから3日目の状態。

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朝一で妻も手伝ってくれる。

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次女が幼苗に新聞紙をかける。

苗が緑がかるまで新聞紙をかけるのだ。

今年で5年目の稲作が始まっている。

 

昨日は、千葉大学の研究生たちが我が家を訪ねてくれた。鴨川を中心に展開されている地域通貨の「安房マネー」の話を聞きたいと言ってきてくれた。

私は単なる一会員に過ぎないのだけど、実際に使っている人の話を聞きたかったとのこと。

 

私が安房マネーに入会したのは、今自然王国の代表をしているミツヲ氏に紹介されたから。

当時の私は、地域通貨がなんたるかを全く知らなかったが、誘ってくれたから、入ることにした。

でも、結果的には、安房マネーに入会したことから全てが始まったように思う。

知り合いも一気に増えたし、鴨川での暮らしが楽しくなったのを覚えている。

今ではあまり安房マネー自体を交換することはないのだけど、いざという時に一番頼れるネットワークのように思う。

2011年の東日本大震災の時、廃校になった大山小学校を利用して「大山支援村」という避難所を作った時も、安房マネーのみんなから大きな力を貸してもらったのだ。

安房マネーは、私にとっては究極のサバイバルネットワークなのだ。

 

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そして、私の今を作ってくれている自然王国。

思いもよらない人生が、ここで展開されている。

生きていくのはカツカツだけど、それでもなんとか生きているし、これからも生きてゆこう。

 

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1人ではできないことも。

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朝8時半にお隣さんに集合してもらって、今日は自然王国までヤギ小屋をもらいに行った。

王国に昔ヤギがいた頃、使っていたものだ。

1人ではとても運べないので、ご近所さんに声をかけて手伝ってもらった。

思った以上に重く、1時間を予定していた作業が結局1時間半かかってしまった。

ちょうどニッキの木があったところに、小屋を置いた。

5月末のヤギの引越しの日まで、あとは簡単な柵を作って準備しておこう。

 

声をかけたら、気軽に時間を空けてくれて、本当に助かった。自分1人では絶対に運べないし。

こんな年になっても気の置けない友人がいるなんて、とても幸せなことだな。感謝。

 

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週明けは天気が荒れる予報なので、午後からは塾の予習をしてから草刈り。田んぼの準備で畑がおろそかになってしまうのだが、そろそろ畑作りをしておかないと、夏野菜が植えられなくなってしまう。これからは小・中学生の農家民泊体験も始まるので、夏野菜がしっかり揃っていることが大事。

農家です!なんて恥ずかしくて言えなくなってしまう。

 

水曜日はお米の種まき!の予定。

 

 

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この地で暮らすこと

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5月末に、我が家に来てくれる予定のヤギを見に行って来た。車で約30分のところだ。3月中旬に生まれたばかりだが、もう草を食べ始めている。元気そうだ。ヤギを飼ったことはないので、勉強しながら育てていこうと思っている。楽しみだな。

 

お昼前に、いつも親しくしていて、お世話になっている友人夫妻が嬉しい知らせを持って訪ねてくれた。

自然王国で初めて会って以来なので、10年は軽くこえるおつきあい。彼らが投げてくれる面白い仕事も、私の準備が追いつかずうまく答えられないのが辛いところだが、それでも遊びに来てくれる素敵なご夫妻だ。

 

自家産のしいたけを焼いて、昼ご飯を一緒に食べた。「ここでの暮らしは豊かだね」と言ってくれた。

そうだな、ここでの暮らしは豊かだな。

改めて考えてみると、それ以外言いようはない。

何かやりたいと思えば、かなりの確率でトライできる場所。

 

「いやあ、おれさ、今が岐路やねん」というと、

「それ、10年以上言ってるよ」と指摘される。

私はずっと今が岐路、今頑張らないと、と思って日々暮らしているのだった・・・・

 

それでも、日々少しずつ暮らしを維持しながら進んでいっているに違いない、とひとりごちるのであった。

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この火は絶やさない

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先月の炭焼き以来、約1ヶ月ぶりに集まって小宴。

この冬の作業は全て終わってしまい、来年度は市の補助事業も申請しないので、秋からの流れを話し合う。

ありがたいことに、今年は最後の方になって一緒に炭焼きをやりたいという人が5人も現れた。

あっという間に12人の所帯になる。みんな無給だけど。

新しいメンバーが来たら、また講習などをやるきっかけにもなるし、作業日程も組みやすくなるので大歓迎だ。

今は採算にのらないけど、とにかく年に数回でも炭焼きを続けることは決めている。

私たちは、炭焼きだけがしたいわけではなく、炭焼きを通して様々な活動に展開していきたいと考えている。

この地に引っ越してきてから、様々な活動をしてきた。お金は儲からないけど、得難い人々と出会い、活動が継続できたことに感謝したい。

人間にとって、自分の役割があることほど嬉しいことはないだろう。人は一人では生きられないし、それぞれの力をそれぞれの持ち場で発揮できれば、意外と踏ん張れることを実感している。

「この先どうするの?」といつも周りに不安がられる。確かに、不安は不安だ。収入は不安定だし。

でも、強調できるのは、ここには全てにおいて工夫できる余地があるということ。打つ手は数多くあるということ。

今健康でいられて、考えられる頭と実践できる身体があればまだ大丈夫だ。そして、困った時に相談できる仲間。困ってなくても共に動ける仲間。このつながりを広げていくことで、あと一歩先に進めるのではないだろうか。

自宅でやっている農家民泊には3月第1週にベトナムシンガポールから、今日まではモンゴルから、週末にはアメリカからの訪問がある。

一生に一度しか会えない人と2泊3日を過ごすことの貴重さを感じながら接していければと思う。

そう、私はあきらめない人生を選んだのだ。

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あの木曽町から!

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木曽路はすべて山の中である。あるところは岨づたいに行く崖の道であり、あるところは数十間の深さに臨む木曽川の岸であり、あるところは山の尾をめぐる谷の入り口である。一筋の街道はこの深い森林地帯を貫いていた。(島崎藤村「夜明け前」)

長野県木曽町から、10名様で我が家にお越しになった。

釜沼の林さんのところで視察を終えてから、夕食と宿泊を我が家でしてくれることになった。

夕食は大山地区でとれた猪の鍋、佃煮、祭り寿司、ふきのとうの天ぷら、菜花のおひたしなど、地域の食材を中心にお出しした。

 

冒頭で引用した、藤村の小説の舞台となっている場所だ、と夕食の時初めて知った。「夜明け前」は長編なので、実は途中までしか読んでいないのだけど、冒頭の一節が印象的で、読み通したいと思っていた。

 

彼らは、地域おこしをやっていこうという民間のグループだ。廃校を利用した施設で都市農村交流を行なったり、地域おこし協力隊で頑張っている人、専業農家の人など、様々な職種で構成されている。

 

鴨川の大山地区で展開されている活動に興味を持ってくれたみたいで、夕食後も0時を過ぎても話が終わらないほど。

 

抱えている課題は共通するものがあるし、今後何らかの形で共に活動していければ、とても楽しいだろう。

懸命に活動している人々との対話は、意義深くて、自分が何をするべきなのか、何がやりたいのかを考えさせられる。

ようやく、ここまで歩いてこれた。これからも、歩いて行こう。

 

 

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学んだ技術は使ってこそ

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前々から約束していた隣の友人の藪はらいに出張。

この友人は、自然王国をきっかけに出会ったご夫婦で、この集落に引っ越して7年になる。

 

チェーンソーを持って来てと頼まれていたので、いそいそと持参する。

現場は、倉庫と家の裏にある土手に生えている雑木の伐採。

直径は太くても20センチ弱なので、大したことないのだが、倉庫に近接しているので、当たらないように伐らねばならない。

 

こういうところでこそ、これまでやって来たところが生きるところ。

どの方向で引っ張ればうまく倒れるか、慎重に判断するのは緊張するけどやりがいのあるところだ。

うまく倒れたら、運びやすいように枝葉を払って、幹の部分は短く玉切りする。

簡単だからと言って、油断してはいけないのは先日の事故で十分認識している。

周り仕事をやってくれる人たちが6人もいたので、ひたすらチェーンソーで伐採すれば仕事はどんどん進んでいく。

 

午後いっぱいで、予定していた場所が無事完了!

すっかりきれいになって、とても気持ちがいいし、これで何年かは持つだろう。

ご近所で支え合うというのは、本当にありがたいこと。いつも田んぼを手伝ってもらっているので、こんなときこそ恩返しができる。

 

夜は、自然王国で出会った懐かしい人々と一緒にちょっと遅い新年会。いろいろ話せて、楽しかった。知り合って10年以上の人々と、今でも楽しく話せるのは本当に幸せなこと。

こんな空間を、これからも大切にしていきたい。 

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この道の先に見えるもの

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我が家の玄関先から道路に向かって撮影。

目の前は、我が家の田んぼ。

今年、5年目の稲作がもうすぐ始まる。

結婚してからしばらくは、時間も能力もなかったため、人に頼んでいた。

しかし、前の仕事が終わった時、頼んでいた人から、「来年は自分でやってな」と言われ、成り行きで自分でやることになった。

 以前から自然王国で田んぼの作業をやっていたため、全く知らないわけではなかったが、いざ自分1人でやってみると、知らないことばかり。

野菜栽培であれば、「うまくできなかったよ」というので笑い話にもできるが、お米は機械などに費用がかかっており、しかも、我が家の一年分の食料にもなるので、笑い話では済まされない。

だから、野菜を育てるよりずっとあれこれ考えている。

「心で思って、実践するのに練習がいる」という言葉を昔投げかけられたことを思い出す。

やりたい、やろうとすることがあっても、あれこれ理由をつけてやらないこともある。

腐ってしまうこともある。

でも、目の前に広がっているものは田んぼという現場。

私が働きかけなければ、何も起こらない。

ずっと田んぼを見ていると、自分たちが作業していた姿を思い出す。

もっと遥か昔に視線を置くと、妻のご先祖様が働いていた様子が思い浮かぶ。いや、さすがにそれは思い浮かばないのだが。映像としては思い浮かばないが、雰囲気としては、この田んぼがずっと受け継がれて来た様子を感じられる。

農家の喜びは、ある種受け継ぐ喜びなのかもしれない。同じことを繰り返しているようだが、その時代に合わせた仕事をしてきたに違いない。

受け継ぐものと、変わりゆくもの。

その根本には、現場があるのだ。

 

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炭焼きから繋がるもの

炭焼き3日目。

3日目の作業は結構気を使う。

「焚き込み」という作業だ。

一昨日から、小さな火で燃やし続けていた。今日はどんどん焚き口に薪をくべて、温度を上げる日。

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火が強くて、かなり熱い。

そして、所定の温度まで達すると、焚き口をベトと呼ばれる土を水で溶いたものでふさぐ。

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今回から組合の仲間に入ってくれたwさん。

きれいに焚き口をふさいでくれた。

 

途中で、市役所の人が作業の様子を見にきてくれた。昨年度から2年続けて市の補助金を得ているので、いろいろと気にかけてくれているのだ。

鴨川市でも、地域活性化の動きや、さまざまな地道な取り組みがなされているのだが、どうにもそれぞれにスポットライトがあたらず、インパクトがあまりない状態なのが率直な印象。

今考えていることは、それぞれがやっていることを、うまく行政とつなげていくことで、インパクトのあることができないかということ。

全ての活動は、鍵になる人ががんばっている間は継続できるけれど、その人がやめてしまうとしぼんでしまいそうな状況。

せっかく、それぞれが知恵をしぼって取り組んでいるだから、それに光が当たるようにしたいと思うのだ。 

 

炭焼きをやることは、資源循環の1つの活動だから、あらゆることにつながっていく。「里山での暮らし」を営むことが静かだが着実な事実を積み重ねていくことになる。そして、それが結果を生み出すはずだ。

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一年分の醤油が完成!

朝のうちに、昨日行われた千葉県立高校入試の英国社の3科目を解く。この日は、自分が1年間やってきたことがどう通用するのか試される日。少しだけ新傾向の問題が出題されたので、受験生たちが戸惑ったのではないかと思う。千葉県は全般的に基礎的な知識を駆使して考えさせる良問が多く、解きがいがある。今回の試験が、また来年度の方針を確認するきっかけとなるのだ。

 

いそいで問題を解き終えて、醤油しぼりに行く。

今日は4月に仕込んだ醤油をみんなで搾る日なのだ。

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もろみにお湯を混ぜて延ばしていく。

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袋にもろみを詰めて万力をかけてしぼっていく。

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火入れをして発酵を止める。

灰汁を取っているのは絞りの全般を見てくれる仲間。醤油組合の中で、しぼりの責任者をやれるメンバーを決めていて、その人が流れを見てくれるシステムになっている。

 

醤油しぼり自体も楽しいのだが、みんなが楽しみにしているのはしぼりたての醤油で味付けをする料理。

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みんなで一品持ち寄るようになっていて、

今年は七輪を3台出して、焼き物中心で行なった。 

もちろん木炭は、釜沼木炭生産組合で焼いたもの!

思い出せるだけ列挙してみよう。

もち、焼きおにぎり(品種:プリンセスサリー)、フキ味噌おにぎり、生わかめ(岩井海岸)、しいたけ、アジの刺身、なめろう、焼き鳥、ちくわ、とうふ、厚揚げ、手作りさつまあげ、胡麻豆腐、うどん、すまし汁、いちごなどなど。

 

みんなで集めると、本能に豪華な食事になる。一品を完成させてくる人と、醤油に合わせた料理を持ってきてくれる人といろいろで、面白い。

 

一年に一度しかないイベントだ。1日ゆっくりかけて、10組くらいの一年分の醤油ができるのだ。

我が家に遊びにきてくれたらご馳走しますよ〜。

 

 

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