東京から農業が消えた日

最近本の紹介ばかりで単調なブログだが、
なんだか今はそんな気持ちなのだ。すみません。
で、今日の本はこれ。

東京から農業が消えた日

東京から農業が消えた日

先述した、「荒れた農村から戦争が始まる」と同著者の作である。
http://d.hatena.ne.jp/shizenoukoku/20070102#1167742039
著者は、戦後GHQによって導入された制度である、
農業普及員だった人である。
東京の農村地方を中心に、戦後の農業復興、
新技術、新品種の導入、除草剤、化学合成農薬の登場など、
農業の近代化の現場で走り回った人だ。

「荒れた農村から戦争が始まる」はかなりシリアスな内容が多かったが、
こちらは戦後農政の現場がリアリティを持って述べられている。
旬より早くトマトを出せば高値で売れる時代が続き、農家はどんどん
早まきトマトを作っていったが、8月に蒔ける技術が出たとたんに、
抑制栽培(蒔き時期を遅らせる栽培法)のトマトの収穫時期と重なり、
その瞬間トマトの値は大暴落し、農業に夢を持っていた青年が
莫大な借金を抱えてしまい失踪してしまった話など、当時の農家の
おかれた状況が良く伝わってきた。

実際、田舎に暮らし始めると、
農政をどのように評価すればよいのかわからなくなってくる。
そのとき最善の策であったと考えられるものが、
後世から見れば的外れであったということはよくあることだ。

実は、当時にもその政策に異議を唱えていた人たちはいた。
しかし、そのような声は大勢の声にかき消されてしまう。
それにも負けず、自分の信じたことをやり続けた人たちが、
今元気に生きているのだと思う。

大勢に流されず、根本的に考え、実践できる姿勢を身につけたい。
今がそのいいチャンスなのかもしれない。
逆境こそがチャンスである、と勝負師は言う。
この状況を楽しもう。

以前のブログを読む