「民主主義」についての教科書

その名も、「民主主義」という本を購入した。戦後、1948年から53年まで使われた、中高生向けの教科書だ。何かで紹介されていて、それで気になって購入したのだ。

はしがきに、

民主主義を単なる政治のやり方だと思うのは、まちがいである。民主主義の根本は、もっと深いところにある。それは、みんなの心の中にある。全ての人間を個人として尊厳な価値を持つものとして取り扱おうとする心、それが民主主義の根本精神である。(強調は筆者)

民主主義とは何か?ということに対してこんなに熱く語った文章があるだろうか。この一文を読むことができただけでも、この本を手に取った価値があった。本書はさらに、民主主義を直ちに生活の中に取り込んで行けというのだ。これが書かれた当時は、民主主義という言葉が光り輝いていたのだなと思った。

本書の構成は、教科書らしく、民主主義の本質、発達、諸制度から始まり、国民主権について、民主主義をどう学び、取り入れるか、となっている。読み始めると、驚くほど心に染み入ってくる文章で説明されている。文庫本という形式からもそう感じるのかもしれないが、今でも十分通用するどころか、今こそ必要とされている本だと思う。読み進めるのが楽しみだ。

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