日曜日、香取市にある「恋する豚研究所」https://www.koisurubuta.comに炭焼き仲間と行って来た。
目的は、その隣にある栗源第一薪炭供給所(設計したアトリエ・ワンのウェイブサイトhttp://www.bow-wow.jp/profile/2018/1K/index.html)の収穫祭に参加するためだ。
駐車場から恋する豚研究所の建物を見る。一階がハム工房、2階がレストランとオフィスになっていた。
建物の天井は高く、解放感に満ちている。下はレストランの二階から見た風景だ。奥に見える三連の屋根の建物が栗源第一薪炭供給所になる。お店に来た人がゆったり過ごせる空間が用意されている。
お昼に、 恋する豚のロース肉塩コショー焼き定食(1,280円)をいただく。これに多古米の新米ご飯と味噌汁がついてくる。肉は柔らかくて、味のあるおいしい肉だった。野菜はポン酢で食べるようになっていて、えぐみもなくて美味しく食べられた。レストランからは一面ガラスで360度の風景が見られる。
研究所に併設されているスイートポテトのお店。奥にわずかに見えるサツマ芋畑で収穫されたサツマイモを原料にしている。
スイートポテト屋の2階は休憩所になっていて、本を読むこともできる。本棚も面白い形をしている。自分でも作りたくなった。そして、いよいよメインイベントの収穫祭へ。
1k、というのがこの施設の呼び名だ。
これは、ガシファイヤーという薪ボイラー。これに薪を入れて湯をわかすことができる。
これは薪割り機。薪炭供給所というだけあって、薪も販売している。
さて、一体ここはなんなのか?林業所なの?レストランなの?
実は、ここは就労支援型施設といって、障害のある方達を受け入れて、事業を行なっている事業所なのだ。
農業×林業×福祉、というのがコンセプトだ。
今まで書いてきたレストランも、薪割りも、サツマイモの栽培、スイートポテトの製造販売も、全ての作業を障害のある人とともに行なっている。
薪割りの際は、チェーンソーも使っている。危険じゃないの?という意見もあるらしいが、そこは工夫を凝らしている。作業分解といって、あらゆる作業の工程を細分化し、それぞれをマニュアル化することで、障害の程度に応じて作業分担しているのだ。
そして、行なっている林業は自伐型林業。3トンのユンボを購入し、道をつけて施設周りの山から木を伐り出し薪を作っている。1kも、この施設周りの山から切り出した木で作られているのだ。
この空間は、人を拒否していない。一般的な福祉施設は、ある意味で当たり前のことではあるが、関係者しか入れない雰囲気を出している。しかしここは、開放的でハイセンスな建物に、おいしい豚肉料理を出すレストランがあり、施設をきれいに清掃したり、接客をしたりするスタッフがいて、その中には障害のある人もいる、といった感じなのだ。お客さんも、ただ単に料理を食べに来たりハムを買いに来ることが目的といった感じだった。
これらの建物を設計した塚本先生が、「ここでは、支援者ー被支援者といった主体ー客体という関係ではなく、豚肉、スイートポテト、薪などの実物が両者の間に入ることで、人と人との関係が楽になっている」と講演で話されていた。
働くことで生み出される関係性があるということなのだ。これにはすごく自由を感じるし、希望も感じる。
この建物にも空間にも、思想というか、考えが反映されている。だからと言って押し付けがましさは全くなく、自然とこの空間に溶け込んで、心地よく感じている自分がいた。
こんな空間を作れるんだ、こんな工夫をしている人がいるんだ、と気づけたことは非常に刺激的だった。
そして何より、私の暮らし方、働き方も、考えをあらわすことに向いていると思い知った。ぐるぐると同じところを回っている私の考えだが、考えを形にあらわすことでもっと自由になるのではないかと思うのだ。
帰り間際に撮った1kの風景。これからここで生み出されるものが楽しみだし、私は鴨川で現場を作り続けていきたい。
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