自ら学ぶ力を

週に4日、中高生に勉強を教えているのだが、やはり週に何時間かは科目の予習の時間を取らなければならない。予習の過程で、生徒たちがつまづきそうなところを想像したり、どうやって伝えればよいか考えたりできるのだ。塾で教え始めて、6年目になる。6年もやっていると、各科目のどこがポイントなのかはよくわかるようになってきているし、教え方も工夫するようになっている。

しかし、実は問題はこれからだ。新しい内容を聞いた時に大切なことは、それを自分の中で咀嚼して、改めて表現することだ。これをやろうとする生徒が本当に少なくて、どう働きかければやるようになるかが今の課題。今やっていることは、問題を解いて間違えた時に、なぜ間違えたか、次どうすればできるようになるかを考えてみるよう声かけをして、実際にどう考えたかを尋ねるようにしている。

理想的には、自分で調べて、やってみて、再び振り返って考える、というサイクルを身につけることを目標としている。教えられたり、押し付けられた範囲を習うより、自分で調べていく方が能動的で身になると思うのだけど、焦らずに仕掛けを作っていきたいなと思うのだ。

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憲法の伝道師に会いに

慌ただしく朝の作業をすませて館山へ。伊藤真氏の憲法講演を聞きに行くためだ。司法試験受験生の頃、彼のビデオ講義でずっと勉強していたので、いらっしゃるなら是非聞きたいと思ったのだ。20年近く前、「憲法体系マスター」という授業があって、その中で忘れられないシーンがあったので、再現してみる。

ある人に、「日本国憲法で、一番大切な部分はなんですか?」と問われた氏は、「日本国憲法には三大原則があり、1国民主権、2平和主義、3基本的人権の尊重です」と答えた。

「いえ、最も大切な部分はなんですか?」

「…。」氏は言いよどんだ。すると、

「憲法で最も大切なのは、憲法13条の「個人の尊重」です」と言われたそうだ。

当時、この話にとても驚いた。なぜなら、学校では憲法の三大原則を習うだけで、最も大切なことについては習った記憶がなかったからだ。

では、「個人の尊重」とは何だろうか。ここからは今日の講演スライドから引用する。

日本国憲法の根本価値

憲法13条前段(個人の尊重)

「すべて国民は個人として尊重される」

一人ひとりの自由を保障し、誰もが人間としての尊厳を持って個として尊重されて、生きることができるようにすることをめざす。

→一人ひとりを大切にする。

存在価値の保障

とあった。憲法のいう「個人の尊重」は、利己主義とは全く異なり、一人ひとりを個として尊重することなのだ。このことを、改めて強く思い知った。

憲法について書くことは、政治的なことを書くことにつながるのだけど、憲法改正について賛否を問うなら、憲法とは何かを考えずして、答えは出せないはずだ。

氏は、「憲法を知ってしまった責任として、その憲法の価値を実現しなければならない。憲法の伝道師となって、どこにでも行く」と言っていた。20年前も言っていた。ずっと継続されているのだな、と感銘を受けた。

私は今特別な活動をしているわけではないけれど、日々の暮らしの中で気づいたことを積み重ねて行くことだけは、し続けよう。

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運動会から稲刈りイベントへ。

朝は1時間だけ子どもたちの運動会へ。

毎年運動会の日は、王国での仕事に重なるので、いつも1時間くらいしかいられない。

ま、やむを得ないのだけど。ほんの少しだけでも、子どもががんばっている姿を見られてよかった。

その後は、学生たちのお迎えにハイウェイオアシス富楽里へ。

今日は社会人と学生の合同稲刈りイベントだ。このイベントは、形を変えて15年以上続いている。

5月に田植えした田んぼの稲刈りだ。

自分で編んだすがい縄で稲をしばる。

途中で結構強い雨に降られるハプニングがあったけど、予定された枚数を終了した。

その後は、みんなで焼き鳥。

自分たちで串うちし、自分たちで焼く。焼く人も食べる人も同じ研修生なので、すごく盛り上がった。

そして、もちろん美味なのだ。

いつもは激務の参加者たちも、ほんの少しのんびり過ごしてもらえただろうか。

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伝えたいことがあっても、まだ言わない。

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台風13号が接近している中、今日から中学3年生の夏期講習が始まった。

夏期講習はいつも、中1、2から中3の夏休み前の復習を行なっている。

中学英語を教え始めて、6年目になる。6年もやっていると、生徒たちがどこでつまづくのかだいぶわかってくるのだけど、受講している生徒は毎年違う。生徒たちに合わせて伝え方を変えている部分と、ここは伝えたいということは変わらず伝えていることがある。

 

何を伝えたいかというと、

最終的には一人で学ぶのだ、

ということだ。

 

彼らにとってはもちろん、中学校に通わなければならない、高校受験しなければならない、そのためには勉強するしかないということなのだけど。

でも本来は、学びたいことを追求する喜びを味わってほしい、そして、学びは一生続くのだということを知ってほしいと思っている。

教えてもらうのではなく、自分で調べて、考えて、実行して、ふりかえってという作業をしていくと楽しいよ、ということなのだ。

 

もちろん、彼らにはまだ伝えていない。

伝えたいことを胸に、今日も英語が少しでも好きなるように、問題が解けるようになるためにはどう伝えればいいかを考えながら、彼らと接している。

 

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義妹から送ってもらったビールを飲みながらラジオ英会話を聴く。

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我が家の昆虫大研究!

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午前中は次女と一緒に鶏や山羊の餌やりをやる。1人でやったほうが早いのだけど、やりたい、と言ってくれるのであれこれ話しながら進める。むしろ、一緒にやれることが幸せなのかもしれない。

 

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毎年、夏休みの宿題で出される自由研究。娘たちの研究を毎年気にしてもう6年目。いい加減任意性でいいんじゃないか、と本気で思うのだが、やるとなればあれこれ気にしてしまって、毎年お手伝い。とは言っても、私が仕上げることはなく、研究の実践、まとめは全て子どもたちがやっているので、私はほんのサポートだけだ。

 

上の写真は、作業着を着て魚肉ソーセージを切っている次女。  

 

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今年は、これにヒントを得た。大山千枚田保存会の事務局長をしている浅田さんがまとめた地域の生き物図鑑。これをもとにして、我が家の周りの生き物を採集、同定していけば面白いものができるのでは?と思ったのだった。娘は虫取りも好きなので、もってこいの題材。

そして、今日はわざわざ浅田さんが家に来てくれて、次女に研究のやり方、トラップの作り方を説明してくれた。

午後から、早速トラップを仕掛ける。

 

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栗の木には、バナナに焼酎を加えて発酵させたものを縛り付ける。ここは大人の出番ということで、縛りつけてみた。

 

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紙コップの中には、魚肉ソーセージ、チーズ、焼酎バナナの残り汁を入れてある。

明日の朝には第一回の確認。

とりあえず、5個しかけてみた。

これには、オサムシやゴミムシなどがかかる予定。

 

さて、次女はあした5時に起きれるのか?いや、私こそ起きれるのか?

 

 

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多様な意見が生み出すもの

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昨日に引き続き千葉大生の授業合宿だった。しかし、私は地元の営農組合の機械整備の作業があり、ほとんど参加はできなかった。

彼らはNPO法人うずの林理事長の部落で集落作業に参加してくれていたのだ。

私が再合流したのは午後3時過ぎで、その時から2日間やってみてのふりかえりを行っていた。

彼らから出たのは、「外から観光客を呼ぶと同時に、地元の人もこれるような仕掛けを作りたい」「友達についてきて、深い関心がなくても過ごせるようなプログラムがあったらいいな」など、他にもいろんな意見が出た。多くの意見が、彼らの現在の経験や関心に基づいているので、実感を持って受け止めることができた。

 

たまたま、プロモーションを仕事にしている方が参加してくれていて、話してくれたことは、「何かサービスを考える時、人の顔が見えるか?どういう人に、どう喜んでもらいたいか?どんな人かきても楽しい何かが持って帰れるようになれば」ということだった。

 

これは、私にとって真正面のストレートだった。これまでも考えてきたつもりだったけど、もっと意識的に考えていけるんじゃないかと思ったのだ。

 

千葉大生を受け入れることは、私にとっては仕事の一環だし、彼らの学びのお手伝いができればと思っているのだが、瑞々しい感性を持つ彼らと話していると、私にとっても自分自身が取り組める課題、方向性が見つかりそうな気がしているのだ。

 

いろんな意見を聞きながら、現実化できるものを見出していきたい。

 

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振り返りの後は、里山デザインファクトリーで開かれた盆踊り大会へ。引っ越してきた人も、地元の人も一緒になって踊っている風景は、まさにピースフル。

この流れを、心に留めて大切にしていきたい。

 

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向き合うということ

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シオカラトンボがうまく撮れたのでトップに。

今日は自然王国で大豆の草取りイベント。

暑い中、参加してくれたみなさんには感謝だ。

 

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畝間は管理機で走っても、畝の上はとても草が生えているので、ノコ鎌を使って刈っていく作業。

風は少しあったが、それでもとても暑く、休憩をとりながら作業を進める。

午前中1時間、午後1時間ほどで最もやりたかった場所が終わった。スタッフだけではとてもやりきれない量なので、本当に助かる。

 

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その後は、自然農田んぼ田植えを有志で行なった。

ここは、サポーターの人から提案があって、とよさとという品種を植えている。先月種まきをして、今日の田植えとなった。普段王国でやっているやり方とは違って、植える深さ、後ろ向きに進みながら植えるなど、面白い部分があった。

こちらは稲刈りは11月頃になるので、ゆっくり生長が楽しめそう。

 

王国イベントを途中で抜けて、千葉大生と合流。一年を通して活動する彼らとの活動も、今月で3回目だ。顔を合わせるたびに、それぞれの学生の名前も覚えるので、少しずつ深い話ができるようになってきた。就職のこと、幸せのこと、いろんなことを悩んでいる彼らと話をするのは、自分の学生時代を振り返ると同時に、自分の現在を省みるきっかけともなる。

 

彼らとともに過ごすことで、自分も何をやっていこうとしているのか、改めて考えるきっかけとなろう。

 

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千葉大学と鶏小屋と。

千葉大学野外実習2日目。

田の草取りの予定だったが、朝は結構大雨が降っていたのでひとまず稲刈り時に使うスガイ縄を編んでいた。同じようにやっても、それぞれのできが違って面白い。今回はすごくうまい学生がいて、掛け値無しに驚いた。なかなかできない仕上がりだったのだ。

 

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しばらくすると、雨もやんできたので、満を持して出陣。草取りのタイミングが少し遅れていたので、かなりたくさん草が生えていた。

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初めてやることだったのだけど、みんなでわいわい5月に田植えした田んぼの草取りを行なった。

このタイミングでできなければまた違う日を再設定しようかと話していたけど、今日なんとかやれて本当にほっとした。

里山オフィスにて里山デザインファクトリーのメンバーのクリスさんのプレゼンテーションを聞いて、学生たちと感想を出し合った。

今回も学びがあったようで、今後どんなふうになっていくか、楽しみだ。

 

学生たちを送り出してからは、鶏小屋の仕上げに。

ようやく完成!

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しばらくビニールハウスに入れられっぱなしだったのだが、これで少し環境を整えてやることができる。

古机を元にした移動式鶏小屋。

下に車輪をつけたので、朝、草の多いところに小屋を置いておくと、鶏がほじったりつついたりしてくれるという仕組み。鶏にとっても草や虫を食べられるので少しストレス解消になるだろうか?

 

今までやろうとしてできなかったことも、いざ始めてみると、試行錯誤しながらも描いたように仕上がるものだ。

1つできると、また1つ取り組みたくなってくる。

次は1間×2間の鶏小屋を作ろう。

その前に、ひよこたちの止まり木を作らないとな。

 

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水利組合と王国と千葉大学と。

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今日は3つの仕事が重なった。

午前中は水利組合の溝掃除。

午後は王国。

そして夜は千葉大学学生の受け入れ。

 

水利組合では、例年この時期に水路掃除を行う。小雨が降る中、溝に溜まった泥をすくったり、邪魔になる草を刈ったりする作業。

田んぼをやめる人も増えてきて、組合から抜ける人もだんだん増えてきている。コツコツ取り組んで、維持していきたい。

 

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午後からは王国。

なんと、午前中に他の草取りが終わってしまったらしく、昼からは大豆の定植を行なった。雨が結構降っていたので、みんなカッパを着ての作業。1時間くらい作業をした後は、お待ちかねのサウナ!私にとっても久しぶりで、本格サウナを堪能できた。

 

夜は千葉大学生の受け入れ。

今年、彼らは年間を通してこの地に通ってくることになっている。学生と対話することで、自分が新たに気づくこともできるし、とても楽しい。

彼らとなんらかの結果を生み出すことが目的ではなく、過程を積み重ねることで彼らが何か学べるのではないかと考えている。その過程を、共に歩んでいきたいと思うのだ。

 

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When I’m sixty eight.

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Tさんご夫妻を送り出した後、デンマークから、68歳の男性、ハンスさんが泊りに来てくれた。直接我が家を探したわけではなく、日本の友人からの紹介で我が家にきてくれた。朝お迎えに行って、第一印象から穏やかな方だな、と思った。68歳というと、私の母と同じ歳。

アメリカで働いていたことがあるとのことで、英語がとても流暢だったので、コミュニケーションを取るのも比較的うまくいった。

何より、ハンスさんの人柄がすごく豊かで、包み込まれるような感じだった。お話が好きで、いろんな話をしてくれる。

デンマークでは、いくつになっても、いろんなことを学べる学校があり、彼はそこで学びながらそこの生徒をサポートするようなボランティアをしているそうだ。

彼の話の中で、何度も「みんなといろんなことについて話し合うことの楽しさ」という表現が出てきた。

英語だからかもしれないけど、何のてらいもなく「楽しさ、喜び、幸せ」という言葉が出てくるのだ。環境や社会についてもフランクに話してくれて、彼と同世代の日本人からはなかなか出ないような話をすることができた。

ビートルズの歌で“When I’m sixty four”という歌があるのだけど、歌詞の内容とは全然関係ないのだが、ハンスさんと話している時の私の頭の中はこの曲が流れっぱなし。

自分がおじいさんになるなんて40すぎても想像できないが、こんな風に話ができる人になれればと願う。

私が司法試験に挫折して、いましている仕事の話をすると、「君の選択は間違えていないし、私は君を支持する」と言ってくれた。

私が言って欲しいと思っているような言葉を言ってくれただけかもしれないけど、今日初めて会った人とこんな話ができるなんて、なんて素敵なんだと自然と感動したのだ。

彼が我が家にきてくれて、本当に嬉しかった。明日お見送りに行くまで、貴重な時間を共に過ごしたい。

 

もう1つ、今日は東京からの中学生13名の1日農業体験の受け入れと、この中学校の受け入れは、今年で4年目になる。受け入れ農家の数と生徒の数が合わなかったのか、我が家は2グループ受け入れることになった。

 

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心配していた雨は朝方には上がり、昼頃からは熱くなるほどだった。

午前中は夏野菜を植えた後、大豆を定植予定の畑にあらかじめウサギ防止の網を張ってもらった。13名と多くて、慣れない作業だったのだけど、少しずつできるようになってきた。

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午後からは野菜の支柱立てと結束。野菜の管理作業は初めての人にはなかなか難しいのだけど、飲み込みも早くてうまく仕上げてくれた。

 

学校によって連れて来られる場合、あまり積極的でない子たちもいるのだけど、今日の子たちは少しは楽しめたようで、こちらも安心した。

ハンスさんと直接話す子たちはいなかったんだけど、ハンスさんの穏やかさを感じてくれたかなと思う。

 

 

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